人が集う組織を築く。1on1で育てる”信頼”の文化

常務執行役員 営業本部長
諸澤 慎二 さん
営業本部 広域営業部
副部長 兼 広域営業課長
佐々木 大 さん


常務執行役員 営業本部長 諸澤 慎二 さん

Q:1on1という取り組みに注目した背景を教えてください。

エンゲージメントが著しく低下した組織の抜本的な改革

「3年以内の離職率が〇〇%を超える」──。1年半前、私が入社したときに直面した組織の現実です。社員のエンゲージメントは明らかに低く、特に上司と部下の関係性に大きな課題を感じました。

上司が部下を適切に指導するには、部下の人となりを深く理解する必要があります。そこでまずは従業員の特性診断テストを導入して一人ひとりの長所を可視化することから始めました。さらに組織実態調査も実施し、チームごとのエンゲージメント状況把握も進めました。そこで見えてきた現実は、なかなか厳しいものでした。

仕事の進捗確認と叱責が中心となり、上司と部下の関係性は希薄化していました。しかし、部下が上司と距離を取りたがっているというわけではありません。彼らにヒアリングしてみると、「もっと積極的に教育してほしい」「コミュニケーションを増やしたい」「ワークライフバランスを重視してほしい」などと実に多様な上司への要望が聞かれました。それが希薄化する関係の中で上司には伝えられていなかったのです。

この状況を根本から変えるには、上司と部下の新しい対話の仕組みが必要です。そのように確信し、1on1の導入を決断しました。

Q:Kakeai導入の狙いは?

1on1を定着させるための環境づくり

1on1の導入を決めましたが、現場への単なる号令だけでは定着は難しいと考えました。上司の中には進め方がわからない人もいますし、部下側が一方的に叱責される場になってしまっては逆効果です。そのため、1on1を継続的に支援できるツールの導入が必要だと判断しました。

Kakeaiが優れている点は、画面のビジュアルが明るく、ITツールにありがちな無機質さを感じさせないところ。アイスブレイク機能なども備えており、対話を自然に始められそうだと感じました。

Q:Kakeaiを導入してから、組織にどんな変化がありましたか?

従業員の組織に対する実感が10ポイント上昇

具体的な数値でいうと、組織実態調査のスコアがKakeaiを導入後に約10ポイント上がりました。特に上司領域での改善が顕著に表れています。

さらに、部門を超えた1on1の効果は、私たちの予想を大きく超えるものでした。月に一度は異なる部署のメンバーと1on1を実施することを推奨していますが、その場での対話が、その後のTeamsでのチャットや日常的な情報交換につながっています。

組織の中で、良い取り組みや成功事例がスムーズに共有されるようになってきたことは、とてもポジティブな変化だと感じています。

Q:今後1on1を通じて、組織をどう変えていきたいですか?

短い時間でも頻度を増やし、部下の小さな声を拾う組織へ

上司と部下の間で本音で話せる関係を築くことが何より大切です。注意や指導は業務上必要ですが、全体のコミュニケーション量を増やすことで、その比重を下げていきたい。例えば、月に15分しか話さない中で10分が注意という状況と、30分話す中での10分では、印象がまったく違ってきます。1on1はそこに役立つはずです。

最終的には、メンバーが「こういうことをやってみたい」というアイデアを気軽に上司に伝えられる環境を作りたいですね。メンバーには小さなチャレンジをどんどんしてもらい、上司はそれらの小さな成功をしっかりと拾い上げ、さらに上にも伝えていく。そんな風通しの良い組織を目指していきたいと考えています。


営業本部 広域営業部
副部長 兼 広域営業課長 佐々木 大 さん

Q:広域営業部では1on1をどのように活用されていますか。

「本音の対話」を行う場として活用

私が所属する広域営業部は、全国規模で展開している量販店様を相手に、いわゆる“本部商談”を担当している部署になります。7人ほどのチームで、私は大阪の営業所から昨年4月に異動してきました。

この部署では着任前からKakeaiを使っており、私もその流れに乗って1on1をスタートできました。

実は大阪にいた頃は1on1にちょっと反発を感じていました。営業職同士は日頃からコミュニケーションが少なくありません。「同じ場所にいるなら、わざわざ面談の形を取らず、その場で話せばいいじゃないか」と思ったのです。

でも、いざ始めてみると、クローズドな場を定期的に設けることの意味がわかりました。普段の雑談では出てこない悩みや、カジュアルなコミュニケーションの中で新しい提案が出てきたりする。

特に私は4月に広域営業部へ異動してきたばかりなので、着任直後から1on1をフル活用できたのはありがたかった。メンバーと深い話ができたことで、短期間で打ち解けられましたから。

Q:1on1でKakeaiを使うメリットをどうお考えですか?

連続性の高い部下とのコミュニケーションの実現

基本的には月2回、各週金曜日に15分ずつ、全員と1on1を実施しています。タイミングはメンバーの任意で、私のスケジュールが空いているところに自由に予定を入れてもらっています。

Kakeaiの良いところは、振り返りで感想が出るようになっていること。Kakeaiでは、1on1の終了後にメンバーが感想や満足度を入力できます。「助かりました」という感想を押してもらうだけでも、メンバーの反応が把握できます。また、毎回文字起こしで記録が残るので、次の機会に前回の振り返りを見て、そこから話を続けることができる。そういったところが非常に助かっています。

Q:1on1を続けることでチームにどんな変化がありましたか?

報連相(ほうれんそう)の頻度が明確に増加

営業という仕事柄、ミーティングは日常的にやりますが、数値の話が中心になりがちです。他方で1on1では、業務の話だけでなく、プライベートに近い話題まで自然と出てくるようになりました。メンバーには「知ろうとするんじゃなくて、知ってもらう場にしてほしい。自分をさらけ出してほしい。私もそうするから」と伝えています。そうした雰囲気づくりを意識的に行った結果、普段の「報連相」の頻度が明らかに増えました。

私自身、4月の異動で来たばかりでしたが、このデジタルツールを使った1on1がきっかけとなって、親密感も高まり、日常的なコミュニケーションも活発になっていきました。業務以外の話もできる関係性が、結果として「報連相」の質と量を変えていったのだと実感しています。

Q:今後、1on1をどのように発展させていきたいですか?

遊び心のあるアイスブレイクで本音をさらに引き出したい

現在、営業本部内では部署を越えた1on1にも取り組んでいます。例えば他の営業所長とも1on1を行うのですが、これが非常に効果的です。電話では言えないことも、このツールがあることで皆が話しやすくなっています。文字起こしがあることを忘れて話すくらい、自然と本音が出せる場になっているんですよ。

また、アイスブレイクの活用にもさらなる可能性を感じています。現在も活用していますが、もっとバリエーションが増えると良いですね。特に部署長クラスでも、キャリアの話など部下に直接聞きづらい内容もあるので、もう少し砕けた質問があっても面白いと思います。部下に気を配る上司ほど、こうしたきっかけづくりの助けになるはずです。


※上記事例に記載された内容は、2025年1月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。