営業部門の業績とエンゲージメント向上を実現
雑談の成功体験がモチベーションを高める1on1を生み出す

株式会社TOKAIコミュニケーションズ
理事 法人営業本部副本部長
栗田 剛さん

Q:1on1に取り組み始めた背景を教えてください。

組織の状況把握を狙いに役職層から組織全体へ

TOKAIグループではエンゲージメント向上という目的のため、心理的な安全性を高め、コミュニケーション量を増やすことで対話の質を高めていこうとしています。当社においては、特に法人営業部では、東京、静岡、名古屋、大阪と拠点が分かれていることもあり、エンジニア部隊の在宅勤務比率が高い状況でした。そこで本部長の考えで、1on1をやっていこうということになりました。

組織としては、本部長、事業部長、部長、課長と階層になっているのですが、本部長が直下の事業部長に加えて、階層を一つスキップして部長、課長とも1on1をすることにしました。本部長の狙いとしては、現場の状況を掴むことだったのですが、実際にやってみたところ想定以上に1on1の場は、普段話せないことを話せる環境を作れるという気づきがありました。このような流れで役職層から1on1を開始して、次第に部長と課長、課長とメンバーというペアでの1on1を広げていったという経緯です。

コロナ禍で圧倒的にコミュニケーションが取りにくくなった中で、出社した時には極力対面での1on1を実施しようという方針を示しました。とある営業部門の部長が腹を決めてしっかり目標として自分たちの組織をよりよく運営するためにも「メンバー全員と1ヶ月に1回必ず1on1をする」というのを宣言して見事にやり切りました。その後もしっかり1on1を継続したその営業部門は、2年目からは業績も上がり、エンゲージメントサーベイでも顕著に高い結果となりました。そうした経過を確認していく中で、組織の状態の変化が手に取るように分かってきましたので、法人営業本部全体として1on1をしっかりやっていこうということにしました。

法人営業部は従来から風通しの良い組織風土ではありますが、コミュニケーションが取りにくくなった中で、管理職層の部下の状態を把握してしっかり向き合いたいという想いに1on1がマッチしていたのだと思います。

Q:1on1の場にどのような期待がありますか。

仕事の話ではなく、ざっくばらんな雑談を。成功体験を積むことを組織の当たり前に

1on1では、基本的に「仕事の話は禁止。雑談をしよう」ということにしています。私自身も80人ほどのメンバーと2-3ヶ月をかけて1人30分で1on1を実施していますが、基本的には仕事の話はしていません。1on1をやろうという話をすると、「時間が取られる」という理由でネガティブな反応を示す人もいるかもしれませんが、「とにかく雑談をしてね」ということで1on1をする管理職もメンバーもストレスを感じにくくなると思います。そして、1on1で色々話をしていくことで実は新たな発見があって、お互いの理解にも繋がっている手応えがでてきます。

意図的に1on1だから話せたことがあるという成功体験を積んでいくことで、組織の中で月に1回1on1をやるのは当たり前だという状態を自然と作り上げていくことができました。
メンバーの中には、1on1の時間を自分が仕事を進めるために有効活用しようという人も出てくるようになりました。メンバーにとっては、1on1の場を使って「上申してみよう」「内緒話ではないが、思ったことを話してみよう」というモチベーションが働くという状態かと思います。中には、現状の事業の課題と対策について話したいという人も出てくるようになっています。

本来、組織を運営していく中では、階層に則った情報の伝達や上申ルートがあって然るべきだとは考えています。しかし、組織が一定の規模になってくるとメンバーからは自分が伝えたことがどうなっているのか、見えにくくなることも多いです。しかし、1on1の場で直属の上司だけではなく、一階層、二階層上の役職者と直接対話できる機会があると、メンバーにとっても課題解決の速さの体感値が変わってくると感じています。私の立場での感覚でもメンバーも含めた組織の団結力は1on1を通じて確実に高まっていると思います。

Q:Kakeaiを使って良かった点を教えてください。

1on1を継続しやすく、実態を把握しやすい

ホールディングスが音頭をとって「グループ全体の施策として1on1を推進する中で、共通のツール基盤はあった方が良い」ということでKakeaiを利用するようになりました。当社は、百名強のエンジニアが基本在宅勤務のため、コミュニケーションはオンラインが基本です。ですので、Kakeaiは当社では有効に機能するだろうと期待していました。また、一階層上の役職者と1on1をしていますので、必然的にリモートにならざるを得ないという状況もあり、1on1をしっかり実施するという面でも非常に有効に機能していると感じています。Kakeaiがあることで組織の中で1on1がしっかり実施されているかを把握しやすくなりました。

私自身も1on1をする時にKakeaiを使っている際、お互いのマウスの動きがわかることで小さなことですが相手の関心を把握しながら会話がしやすいと感じます。雑談を推奨しているのでサイコロを止めてテーマを出してくれるアイスブレイクも重宝しているメンバーが多いです。

Q:今後に向けて

1on1を組織横断で展開することで部門の連携を強化。
データも活用してさらなる有効な対話に

現状は、それぞれの拠点を中心に直属の上司やラインの上席者との1on1をしていますが、今後は、さらに本部として1on1の機会を有効活用していきたいですね。本部としてのディスカッションミーティングや懇親会などの集まる場や、マネジメントが振り返りを行うための360度評価の手法もありますが、横の部門横断での1on1をすることで、組織の力をさらに高めることができるのではないかと考えています。組織横断の1on1ではお互いの活動を共有することで知見の循環にも繋がりますので、仕事の話もしてOKとするつもりです。

また、Kakeaiを使って1on1をすることによって満足度やマネジャーの1on1のテーマや対応の得意・苦手のデータも蓄積されていきます。例えば、アドバイスはしっかりできているようだけれども、メンバーにとって話を聞いてもらえているという状態になっていないのではないか、ということも分かってきますので、こうしたデータも活用して対話の質を高めていきたいですね。


※上記事例に記載された内容は、2024年10月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。