写真右:高須彰一さん/上長
リコージャパン株式会社 人財本部 HR・EDTechサポートグループ
写真左:須藤壮彦さん/メンバー
リコージャパン株式会社 人財本部 HR・EDTechサポートグループ

日常業務の「行間」を埋める1on1で共感領域を広げる

Q:現在の1on1実施方法や位置付けについて教えてください。

メンバーのための時間で共感領域を広げる。

高須さん:
メンバーのための時間を作ることで、1つは共感領域を広げたいと考えています。日頃の会議の時から「共感領域を作ろう」ということは心掛けていますが、一対一でさらに共感を作って行きたいですね。メンバーが何を考えているかを把握し、その時間を有効に使うことでエモーショナルな面のマネジメント行っていくための1on1という位置付けです。

須藤さん:
頻度としては月に1回程度です。コロナ禍でリモートワークが多くなり直接話す機会がなくなったので、1on1で定期的に上司とコミュニケーションする機会がしっかり取れるので助かっています。
ある程度、裁量権を持たせてもらい仕事をしているので、業務を進めていくことはできています。しかし、仕事上で、わざわざ会って話すまではないけども共有しておいた方が良いことも多々あります。そういうことを1on1の時間で密に話ができています。

Q:上司側の視点で「わざわざ時間をとって話すまでもないけども、知っておけた方が良いこと」を1on1の場で担保されているという実感はありますか?

1on1で日常の業務のやりとりの行間を埋める。

高須さん:
須藤さんは4年ほど前から一緒に仕事をやってきているので、ある程度仕事の流れもできているし、須藤さんにお任せする範囲も決まっているので、1on1の場で念のためも含めて確認している感覚です。
一方で、新たなグループのリーダーとなり、メンバーが総入れ替えになりました。新しく一緒になったメンバーについては、業務も心持ちも把握していないので、ゼロから始めています。グループの会議では業務面の話はできますが、メンバーがどう考えて、どう受け止めているかについては会議では確認できない部分も多いです。1on1であれば、一対一で、今の心の状態がどうなのか、業務をどう受け止めているかをしっかり掴むことができます。
カケアイを使った月1回の1on1を基本としていますが、新しいメンバーや、業務を進める上で困っている可能性があるメンバーは、週に1回など高頻度にし、時間も1時間程度長めにとってもらうようにしています。普段の業務上のコミュニケーションは、チャットで行っているので、その中で困っていることなどを掴みつつ、テキストの行間では掴めないことを話すようにしています。

Q:これまで1on1を実施していないケースで、いざ1on1をやってみようとするときに、上司からの声のかけ方が難しいという話しを伺うことがあります。メンバーが「1on1をやる意味などあるのか?」とならないようにする工夫があれば教えてください。

1on1の大切さを週に1回は繰り返し伝える。

高須さん:
MIT組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏の、提唱している組織の成功循環モデルの話をしています。私とメンバー間の信頼関係もそうですし、メンバー同士の信頼関係もチーミングで作っていかなければいけません。ダニエル・キム氏の話も出しながら、1on1の大切さを週に1回は伝えていると思います。繰り返し伝えていくことで1on1を行う下地は作れていると思います。

Q:カケアイを使って助かったことや変わったことがあれば教えてください。

自分が話したいことを話せる。

須藤さん:
1on1は、メンバーが話す場なので、自分が話したいことを話せる、上司が聞き役に徹してくれるというのが、まず一つ助かっていることです。自分から話せる場として困っていることや解決の方向性などを話せるのが良いですね。仕組み的にメンバーが話したいトピックや対応を選ぶという形式に自然になって、上司がそれにきちんと向き合った状態でスタートが切れるというあたりが良い点だと思います。

トピックと対応を事前に掴んで心づもりし、メモで整理して考えを促す。

高須さん:
須藤さんとのやりとりを画面共有しながら共同でメモが取れるので、須藤さんが言っていることをひたすらメモに残しつつ、時々質問を入れています。メモがないと全ては覚えていられませんし、カケアイ以外でやろうとすると管理も面倒ですし、履歴がずっと残っているのはいいですね。
気づいたところは後でアドバイスを送ったりして、1on1をやっている時はなるべく聞き役に徹するようにしています。メンバーによっては、話が前後することもあるので、同じ画面でメモを整理しながら最終的にどういう話で、何を確認できたかをまとめるようにしています。また、セルフアセスメントで個人の特性を把握できるので、1on1をやる前に確認し、どのようなところに気をつけるべきなのかを意識し直して対話に臨んだりしています。
メンバー側から「報告したい」とか「話を聞いてほしい」という対応が選ばれるのも参考になります。まだ共感領域が作れていないメンバーや新しいメンバーだと、一体何をテーマにするのかすごく関心があります。報告なのか、教えて欲しいのか、アドバイスが欲しいのか、求められている対応が分かることで心づもりができます。私は須藤さんより喋るタイプなので、カケアイがあるおかげでわりと話を聞けていると思います(笑)
やはりメンバーがせっかく設定してくれたテーマから外れたらダメだと思います。上司としては、違う話をしたい時でもそこはぐっと我慢して、まずはメンバーが設定してくれたテーマの枠内で対話することは大切にしています。

Q:もうお二人の間ではないと思いますが、1on1が憂鬱だという話を聞くことも多々あります。そもそも信頼関係も大きく影響するとは思いつつ、乗り越え方についてのアドバイスがあれば教えてください。

上司は聞き役に徹しながら話を進める。

須藤さん:
やはり上司に否定されると、どうしても憂鬱になってしまいますよね。上司が聞き役として、アドバイスをするけど否定はしないというスタンスで向き合ってもらえるとメンバー側はありがたいですよね。メンバーの立場からすると、きちんと伝えたいことを怖がらずに話していけば、有意義な時間になっていくと思います。
高須さん:
コーチングとかアイスブレイクとかの技法も取り入れながら、場をしっかり温めれば、それから話がつながっていくと思います。須藤さんがいう通り否定もしないことですよね。「ん?」と思った時には、「それってどういうことなの?」と聞き深堀っていきます。そうするとメンバー側も途中で自分から気づくので、それから話を進めていきます。また、受け手側の勘違いの場合もあると思います。メンバーが言っていることにマネジャーが「おや?」と思ったとしても、それは自分が取り違えているだけの可能性もある。その可能性があることを意識しておき、常にもう少し聞いてみることを心がけています。

Q:これから1on1をどんな時間にしていきたいですか?

より成長を実感できる場に。

須藤さん:
今は高須さんとよい関係を構築できていると思うので、カケアイを使って継続していきたいです。私のように上司と良好なコミュニケーションが取れている人も、より成長を実感できるような場になればもっと有意義な時間になると思います。
高須さん:
短い言葉でメンバーが気づけるようにしていきたいです。まだまだ私は前置きが長過ぎると思うので、質問力をもっと高めなければと思っています(笑)メンバーのラーニングポイントを奪わないとか、先に言わないとか、気づくまで我慢する。教えてもらうと薄くなってしまいがちですが、自分で気づいたことは強く残るので、前置きを短く、よい質問で対話できるようになりたいと思います。

※上記事例に記載された内容は取材当時のものです。