個人と部門の方向性を一つに、同じ方向に向かって進める組織に。
1on1で部下のキャリアを上司が支援しベクトルを合わせる対話を
パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
開発本部 統合制御システム開発センター システム開発部 部長 三須 薫さん
開発本部 グリーンイノベーション推進室 担当マネージャー 竹田 厳太朗さん
開発本部 統合制御システム開発センター システム開発部 部長 三須 薫さん
Q:1on1を通じてどのような組織を目指していますか。
1on1で個人と組織の方向性を一つに
会社や部門として「ここに行くぞ」という方針や経営理念、バリューや価値観などの方向性については、言葉としては、皆が知っています。しかし、実際の日々の業務の中で、ゴールに対してどれだけモチベーションを持てているのかという現実的な問題があると思います。個々人がやりたいことと、組織の目指す方向がずれる時も当然ありますが、丁寧に対話をしていくと必ずしもずれている訳ではなく、重なりが見えてくることがあります。できるだけその重なりを大きくしていきながら、皆が組織の目指す方向へ向かえるよう、様々なコミュニケーション機会をつくっています。1on1も組織が同じ方向に進むためのコミュニケーションの一つだと捉えています。
開発部門には入社当時から一貫して当事業に従事しているメンバーもいれば、必ずしも自分の希望配属ではないというメンバーもいます。大企業ではよくあることかもしれませんが、様々なバックグラウンドのメンバーが集まって成り立っている組織なので、個人と組織のベクトルをどう合わせるかについて会話を重ねなければ、難しさが生じてしまいます。
だからこそ、1on1は、上司と部下でキャリアについて話し合える非常に重要な位置付けだと考えています。特にR&D部門においては、キャリアについて上司と部下が話し合う意義は大きいです。例えば、今はまだ取り扱っていない技術をやりたい人がいた時に、上司側がバランスを判断しながら、今の業務でできることや今後どのように業務に取り込むことができるのかをアドバイスできれば、部下にとって示唆が大きいです。定期的に1on1や立ち話でも良いので、今年度の業務に直接活かされなくても、部下がやりたいことに対して「こんなこともできるのではないか」「ちょっとやってみて」といったヒントや機会を提供できるような組織でありたいですね。
上司の仕事とも言えますが、部下の皆さんがもっとオープンに語れるような1on1の場にしていきたいという願望があります。皆さんが心をオープンに素直に会話をして上司と部下が一緒になって取り組んでいけば、結果として成果に繋がっていくと思います。
Q:Kakeaiを利用して良かった点を教えてください。
上司が1on1での改善をデータ起点で進め、組織のエンゲージメントに効く1on1を
Kakeaiで毎月1on1の状況を確認できるので組織状態を把握できるのが、私の立場としてはありがたいです。フロアで私からメンバーに声をかけることもありますが、具体的な状態までは把握しきれません。Kakeaiの1on1のデータを見ると、やはり業務の比率が高い傾向にあります。賛否両論ありますが、業務の話が1on1に滲み出てくるのは、私は構わないと思っています。いずれにせよコミュニケーションをしっかりとってお互いのやりたいことや業務で困っていることをきちんと会話していくことが重要です。
また、一対一で上司と部下が話をしていると、上司は親身になってアドバイスを伝えているつもりでも、実は部下は「押し付けられている」と感じているということもよくある話です。ですから、上司側が客観的に自分の対応を確認して振り返りできることは、非常に大事です。Kakeaiの利用においても上司にフィードバックができる点は、魅力に感じました。上司が部下と同じ方向を向けているのかを確認できるようになることは、上司への支援にもなると思います。トピックと対応別の得意・苦手のデータやヒントを確認すると上司自身の気づきにもなるので、客観的な評価が得られるツールは、あって損はないかなと思います。組織運営においても、例えば、従業員意識調査でエンゲージメント指標が下がった場合には、1on1をやろうという話ですし、1on1をやっているのに数値が改善しないという場合には、Kakeaiのデータを活用して分析して手を打っていくことが重要だと考えています。
開発本部 グリーンイノベーション推進室 担当マネージャー 竹田 厳太朗さん
Q:1on1にどのように取り組んできたのでしょうか。
1on1の実施の定着から、上司が部下のキャリアを支援する段階に
2020年ほどから本格的に人事部からの発信で1on1がスタートし、私はちょうどそのタイミングで係長になって上司という立場で1on1を始めました。とにかく1on1を実施するというところからのスタートでした。私の部下には、一回り以上年上の方もいるので「年下の上司にキャリア支援と言われても困るのではないか」という思いもありました。当初は私個人としても、1on1の時間を使いきれていないという感覚でした。月に1回は1on1を実施していたのですが、徐々に慣れてくると、話す内容も業務進捗の報告の場になってしまっていることを課題に感じるようになりました。
開発本部としても上司 – 部下間でのキャリア支援にしっかり取り組んでいこうという方針でしたので、私自身も1on1をキャリアについて話す機会として捉えてみようと見直しを始めました。しかし、上司が部下のキャリアをいかに支援するのかをネットで調べてみると、年下の部下をどう支援するかという記事はたくさんあるのですが、年上の部下へのキャリア支援に関するものは、ほとんどありませんでした。技術系の職種に関するものは、なおさら情報がありません。
若い方に対しては、上司が自分の経験から「こういう道をたどっていけばいいよ」と、ある程度イメージをつけて、キャリアアップのメカニズムを説明できます。しかし、年上の部下のキャリアになると私個人も全然分からないですし、部下側も受け入れにくさがあると思います。だからこそ、部下側の皆さんに自発的にキャリアについて考えていただき、話す場が必要だと感じました。ですから、1on1も「技術革新が目まぐるしく昔の経験値だけではやっていけない環境の中で、どのように求められるスキルを身につけていくのか」を考えるために、部下の方の役に立つ時間にできればと考えています。私から1on1で部下の方に参考になりそうな記事を紹介することもありますし、1on1で聞いた部下の方がやりたい新しいチャレンジを組織長に説明して予算化することにも意識して取り組んでいます。
Q:Kakeaiにどのようなご期待をいただいたのでしょうか。
1on1のハードルを下げて、本音で話し、組織で振り返る
まだ試行錯誤で1on1に取り組んでいた時期に、私自身が1on1を良くするためのアンケートを作ってみたのですが、上司が作ったアンケートに部下は本音で答えにくいことが分かりました。自分でやってもどうにもならないので、きちんとプロの力を借りないといけないと思って、情報収集していた時にKakeaiを知りました。
組織力を上げるKPIとして従業員満足度・エンゲージメントがあります。そのKPIを上げるキーになるのは、上司部下のコミュニケーションです。1on1をすること自体が目的化しがちだった状態から、1on1を部下にとってより良い時間にしていくためにKakeaiを利用しています。1on1をより良いものにしようとした時に、定量化し、そこで課題を発見したいという思いがありました。ですので、Kakeaiの利用の狙いとしても「1on1のハードルを下げる、本音で話す」「個人が振り返る」「組織で振り返る」という点を周知しています。
Q:実際にKakeaiを利用してそのような点が良かったですか。
部下が迷いなく話せることで、1on1は部下が得する時間になる
部下が主体的に1on1に取り組み、部下が得をする1on1をしていきたいです。上司が単にプロジェクトの進捗を把握するために話をしていても、部下にとっては何もメリットがありません。だからこそ、部下は1on1の場で上司に想いを伝えて、その想いに上司と認識の違うことが含まれていても、一旦は上司が飲み込む場を作る必要があります。部下が「こんなこと話をしても良いのか」と思うことも、迷いなく話しができる状態が本音で話せるということだと思います。実際に、従業員意識調査で本音を言えると感じている人の割合が、2割程度増えていますが、ここはさらに改善していきたいです。
とはいえ、「何でも話して良い」と言われても部下もフリーワードだと話しにくいです。しかし、Kakeaiで話したいトピックと対応を部下が選べることで、部下は主体性を発揮しやすくなります。Kakeaiに選択肢があることで「こんなことも、話して良いのだ」と部下はトピックを選びやすくなりますし、上司に何を支援してほしいのかを伝えられるので、みんなが言い訳しながら使えるのがKakeaiの良い点だと思います。
また、1on1をやったままにしないという観点も重要です。上司としても緊張感を持って部下の本音の話を受け止められるような1on1の仕組みとして、上司が自分の対応を可視化して把握できるということは有効です。Kakeaiでは上司が自分の1on1の満足度や得意・苦手を確認できます。何となく良くなっているという感覚ではなく、注力したことがきちんと可視化できることで上司側の対応や1on1の内容の改善に向けて進められると考えています。
※上記事例に記載された内容は、2024年9月取材当時のものです。閲覧時点では変更されている可能性があります。ご了承ください。